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新刊『「つなみ」の子どもたち』

「つなみ」の子どもたち
 新刊が出ました。『「つなみ」の子どもたち』
『つなみ 被災地の子ども80人の作文集』の取材で出会った家族のうち、10組の家族の7ヶ月間の過程を追ったものです。帯に「喪失と再生のドキュメント」と書かれてますが、まさにそんなドキュメントです。
「震災」「被災者」とひと括りにされると見えないものがあります。それぞれの町でいろんな暮らしや家族があって、当然ながら、そこには土地の歴史もあれば、家族自体の歴史もあります。
 なぜ彼らが被災してつらいのか、なぜその土地から移らないのか、なぜそこで暮らそうとするのか。被災していない人にはわかりにくい疑問でしょうが、そんな問いに対する答えも、毎月彼らに会って長時間の話を聞く中でぼんやり浮かんできたように思います。
 正直に言って、話を聞く側も精神的にけっして楽ではない取材でした。親をなくしたり、配偶者をなくしたり、買ったばかりの家が流されたり。その人がどんな人で、どんな風に暮らしてきて、将来こんな暮らしを送ろうと考えていて、と深い話を聞けば聞くほど、こちらも抱えるものが大きくなったからです。しかも、その部屋の窓の向こうに拡がる現実とどう折り合いをつけるのかもわからない。
 それでも、その厳しさをなんとか受け入れて(まだ受け入れていない人もいる)、乗り越えていこうとする。その過程を、(取材する中で見えてきた)いくつかのテーマに絞って追ってきたものです。
 被災者は何十万人といるのでここで紹介するのは、ほんのわずかな話でしかありません。でも、読んでもらえれば、なぜ僕がこの家族の過程を紹介したいと思ったのか、きっとわかってくれるかと思います。
 ぜひ手にとって読んでいただければと思っています。そして、まだ終わっていない被災の現実、そこで前を向こうとしている人たちがいることに、すこし思いを馳せていただければと願っています。
 よろしくお願いいたします。