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『ぼくらの就活戦記』発売

「ぼくらの就活戦記」10月20日に『ぼくらの就活戦記 難関企業内定者40人の証言』(文春新書)が発売されました。
タイトルの通り、内定をとった学生やすでに入社している新人社員など15社、40人の就職活動の体験談集です。
昨秋上梓した『就活って何だ 人事部長から学生へ』(文春新書)という本は、人気企業の人事部長が、自社の新卒採用選考における選考過程や人の見方などを解説したうえで、就職とは、働くとはどういうことかを語るという「採る側」の意図を明らかにした企画でした。
今作『ぼくらの就活戦記』は「採られた」側の話です。

既出の報道の通り、現在の新卒採用は以前の「就職氷河期」と同様、非常に厳しい状況です。新卒の有効求人倍率は2009年春の2010年入社で約25%減、今春の2011年入社の採用でもさらに微減。学生の中には、50社、70社と数多くエントリーをし、夏になっても就職先が決まっていないという人も少なくありません。
ところが、取材で学生に話を聞いてみると、厳しいという声がある一方で、複数の内定をとっている人も少なくありませんでした。
大手電機とメガバンク、商社と投資銀行、大手損保と外資系金融……。有名大卒でも採用に至らない学生がいる一方、就職氷河期などどこ吹く風で複数の内定を勝ち得ている学生もいる。
彼らはなぜ内定をとれたのか。彼らはどんな就職活動をし、なぜ内定に至ることになったのか。
そんな疑問を解消すべく、人気企業15社に協力を依頼し、内定学生ないしは入社1~3年目の若手社員に話を聞かせてもらうことにしました。

JTB、東海旅客鉄道、三菱東京UFJ銀行、明治製菓、東京海上日動火災保険、伊藤忠商事、テレビ朝日、ソニー、キリンビール、東レ、ベネッセ、スズキ、NTTドコモ、電通、ゴールドマン・サックス。

上記15社から一社あたり2~3名登場いただき、自身の就職活動を詳細に語ってもらいました。それまでどのような人生を送ってきて、どのように就職活動をはじめ、どのように社会や会社のことを考え、最後にはなぜその就職先を選ぶことにしたか。
そうしたディテールをつぶさに聞き取り、まとめたのが本書です。
ただし、本書は「ただの体験談集」ではありません。
同15社の若手のインタビューのあとには、人事担当者のインタビューも併録しており、登場した若者たちが、なぜ採用内定に至ったのか、その理由の一端を尋ねています。
つまり、「採られた」側の活動がわかると同時に、彼らを「採った」側の視点も併記しているのです。そうすることで、内定に至る表裏両面を描きだそうとしたのが本書の狙いでもあります。

言うまでもないことですが、就職と採用の関係性には決定的な「正解」などなく、お互いの相性や運などによって決まる部分も多々あります。いや、むしろ、そうした面のほうが大きいと言ってもいいでしょう。
さはさりながら、彼ら「先輩」の活動、彼らがその過程で抱いた考えには、ある種、共通性があったのも確かです。それらはごく一部分、筆者が最後のまとめに記しましたが、多くは読者自身が広く読み通す中で、見つけていけるものと思います。言ってみれば、「読むOB訪問」的な役割もあるように思います。

あらかじめ断っておけば、とくに「こうすればこうなる」といったマニュアル的な指導は本書にはありません。自己分析などの専門書を求める方は、そうした書籍を探してください。
けれども、「先輩」が経てきた体験には、活動のヒントが豊富に含まれています。
それらを自分の頭で探しながら、読んでもらえたらというのが、取材者の願いです。
これから就職活動に励まれる方は、ぜひ書店で手にとってみてください。よろしくお願いいたします。