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新刊『反動世代』

2013年07月13日 · コメント(0) · 未分類, 自著

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 新刊の案内です。2週間前になりますが、6月28日に『反動世代』という本を上梓しました。
 中野剛志、三橋貴明、柴山桂太、施光恒の4氏のインタビューをもとに構成したものです。反TPP、反グローバリズムなどの主張を軸に、経済評論で多くの著書をもつ4人で、よくご存知の方も多いでしょう。『TPP亡国論』でベストセラーを出した経産省官僚である中野氏は過去に何度か取材でお世話になったことがあるのですが、著書でも取材でも、彼の視点の確かさやロジックの力には驚きや共感を覚えていました。
 一方で、彼の周辺には専門領域は異なるものの、やはり反TPP、反グローバリズムという点で一致する同士的な仲間がいることにも気づいていました。その中には、広くファンをもつ三橋氏のような方もいれば、学者然とした柴山氏や施氏などもいる。
 彼らの本を読んでみると、おもしろいことに気がつきました。
 本のつくりはわりと過激な言葉が惹句として並び、「売国奴」など、やや右派的な層から受けそうな言葉もある。また、ネット上でもいわゆる「保守」という立場の人からの支持もある。外形的に見ると、政治的思想は保守と映ります。
 ところが、彼らの経済に関する主張自体は、反TPP、反グローバリズムなど、実際には左派層、リベラル層に親和性が強い(世界で反グローバリズムを掲げている団体はおよそ左派やリベラルが中心なのは、あえて指摘するまでもないでしょう)。
 たとえば、政治思想の施氏などは「外国人参政権に反対」のほか、中野氏が「排外主義者(笑)」とからかうほど保守的な言論を産経新聞などで書いています。ところが、なぜ彼がそうした考えをもつのかという根拠を著書で読むと、単純で旧弊なものから発しているわけではないことがわかる。
 というのは、自由経済や民主主義といった政治経済のルールや概念はいま世界で基盤となっていますが、歴史的によく考えてみると、それは欧米というローカルな文化がベースであって、東アジアなどのローカルな文化や伝統とイコールではない(ダメだと言っているわけではない)。多様性というか、多極的な文化や伝統を重んじる視点に立つとき、いまのルールや概念自体もまず疑ってみるところから、施氏の「リベラルな政治思想」の関心がはじまっている。
 東西冷戦が終わって20年あまり経つなかで、世界のパワーバランスや経済の流れは激変しました。そうした中で、「保守」「リベラル」という言い方もかなりぶれているのが実態です。要するに、古いフレームで「保守」「リベラル」を当てはめようとすると、問題のあり方を誤認してしまいかねない危険もある。
 そういう複雑な状況の中で、今回の4人の言論活動は非常にユニークだと映りました。
 保守でもあり、リベラルでもある。また、そうしたフレーム(立ち位置)の問題より重要なことも彼らは訴えてもいる。
 そこで、本書の狙いは、現状の政治や経済に関する4人の大まかな主張を確認するとともに、そもそもなぜそういう考えをもつに至ったか、という思想の基盤がつくられる過程の読み解きに力点を置くことにしました。
 著書はそれぞれ出している方たちなので、本格的な主張や言論を読みたい方はそれぞれの著書を読んでいただいたほうがいいでしょう。話者がいる本ではどうしても話は散漫になるからです。でも、良さもあります。「聞かれたから答える」、言い換えると「聞かれなければ話さない」部分があるからです。
 すでに彼ら4人の著書を読んでいる方は少なくないと思いますが、ぜひそうした部分を読んでもらえたらと思っています。

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